はなの病気
副鼻腔炎
副鼻腔とは鼻の周囲の骨にある空洞です。その空洞の中に炎症が起こることが副鼻腔炎(蓄膿症)です。短期間に推移する急性副鼻腔炎と長期にわたる慢性副鼻腔炎があります。
○で囲った部分が副鼻腔です。
正常な場合は黒い空洞として写ります。ちくのうの場合は白いモヤがかかって写ります。
急性副鼻腔炎
症状
- 膿性の黄鼻汁・鼻閉
- 後鼻漏(鼻の穴から外に鼻水が出ることなく、のどの方向に流れ込むこと)がある
- 頭痛、ほほ・おでこ部分の痛み
- 発熱
- 鼻の中が臭う
原因
風邪が原因でウィルスや 細菌の感染によって鼻腔に炎症が起ります。副鼻腔は鼻腔とつながっており、副鼻腔にも炎症が及びます。この状態が急性の副鼻腔炎です。
治療
【内服薬の処方】
細菌を抑える抗生剤や鼻の粘膜の炎症を抑える薬などを処方します。
【ネブライザー治療】
ネブライザーという専用の吸入器で、鼻の炎症を抑える薬液を微粒子状にして副鼻腔内に送り込みます。
慢性副鼻腔炎(=いわゆる蓄膿症)
症状
- 頭が重く、集中力が低下する
- 鼻閉
- 後鼻漏が原因で慢性咳・のどのイガイガ感がある
- ニオイが分かりにくい(嗅覚障害)
- 鼻の中が臭い
原因
副鼻腔炎が数か月以上の長期間に及び慢性化した状態です。
治療
以前はいきなり手術をおこなっていた時代もありましたが、近代では治療にはマクロライドという抗生物質を用い少容量で長期間投与します(マクロライド長期療法)。この抗生物質は本来の抗菌作用以外に免疫調節作用・抗炎症作用があり、2〜3カ月間かけて治療いたします。この治療で7〜8割の患者さんが完治しますが、このような保存的治療を続けても改善しない方や鼻内に大きな鼻茸がある場合などは手術療法を行います。この手術的治療も以前は歯ぐきを切って副鼻腔を大きく開放するものがおこなわれていました。しかしながら技術が進歩した現代では鼻の中から内視鏡を用いた体に負担の少ない手術が主流です。その際も手術ができる病院や専門施設に紹介いたします。
アレルギー性鼻炎と花粉症
症状
- くしゃみ
- 水様性鼻漏
- 鼻閉
- 花粉症では目のかゆみ、充血、なみだ目などの眼症状も出現します。
原因
アレルギー性鼻炎の中で、ハウスダスト・ダニが原因でおこるものは一年中症状があるため「通年性アレルギー性鼻炎」と言い、スギやヒノキ花粉など特定の季節だけ症状が出るものが「季節性アレルギー性鼻炎」と言います。スギ花粉による季節性アレルギー性鼻炎が「スギ花粉症」です。
治療
治療法としては、薬物療法・レーザー治療・減感作療法などがあります。
【薬物療法】
最も一般的な治療法です。効き目や安全性も高く、子どもから大人まで幅広い年齢の方に治療することができます。特性によって抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬、ロイコトリエン拮抗薬、漢方薬、ステロイド剤など数種類のものを内服、点鼻、点眼のかたちで使用します。症状や合併症の有無、薬剤の特性によって使い分けます。
【レーザー治療】
薬物療法で症状が改善しない方、薬を飲み続けることに抵抗のある方、薬で眠気が出てします方、妊娠中またはこれから妊娠予定の方にはレーザー手術という治療法があります。
レーザー手術について詳しくはこちら
【減感作療法】
免疫療法とはアレルギーの原因となる物質を少量から投与することで体にアレルギーの原因物質を慣らしてアレルギー症状を和らげる治療法です。
免疫療法にはこれまで皮下に注射で投与する皮下免疫療法がありましたが、注射による痛みがありました。舌下免疫療法とは治療薬を舌の下に投与しそのまま治療薬を保持しアレルギー症状を治療する免疫療法です。毎日行う必要があり、定期的も通院は必要ですが自宅でおこなえます。
舌下免疫療法について詳しくはこちら
薬剤性鼻炎
薬剤性鼻炎は、市販の点鼻薬の使い過ぎにより起こる鼻炎で、鼻づまりが主症状です。 点鼻薬を長期間使いすぎると、かえって使用前より粘膜が腫れるという副作用があります。 市販の点鼻薬には、鼻粘膜の腫れを改善させる成分(血管収縮剤)が含まれているものが多く、使い始めにはよく効きますが、長期間使用すると徐々に効き目が悪くなり、かえって鼻粘膜が腫れたままで鼻づまりが続く状態となります。 血管収縮剤入りの点鼻薬は、1日2回で2週間程度の使用であれば問題ありませんが、1ヶ月以上かつ1日に3〜4回以上の使用となると、薬剤性鼻炎の可能性が出てきます。 薬剤性鼻炎の治療は、まず血管収縮剤入りの点鼻薬をなるべく早く中止することです。最初は鼻づまりに苦しむことになりますがここが辛抱のしどころです。確かに最初の2〜3日は辛いですが、1週間でかなり楽になり、2週間経つとほとんど元の状態に戻るといわれています。
さらに、抗アレルギー剤と(医師処方の)ステロイド点鼻薬で治療します。ステロイド点鼻薬は連用しても効き目が悪くなることはなく、ステロイド内服薬でみられるような副作用も非常に少ないという特徴があります。 通常はこの治療で鼻づまりが改善されてきますが、相変わらず鼻がつまる場合は、何らかの鼻炎や鼻中隔わん曲、鼻茸(ポリープ)などの元々の鼻の病気の治療が必要となります。また、場合によっては手術が必要なこともあります。
鼻出血
鼻からの出血の原因で一番多いのは、鼻の入り口付近1〜2㎝の「キーゼルバッハ部位」からの出血です。キーゼルバッハ部位は毛細血管が集中しており、粘膜も薄いため、出血しやすいです。小児の場合は、指で鼻をほじる・擦る→粘膜が傷つき出血→かさぶた付着→それが剥がれる というサイクルを繰り返している場合が多いです。アレルギー性鼻炎があると、鼻汁による刺激・鼻の痒みで鼻出血を起こしやすくなります。また鼻風邪の場合も粘膜が炎症を起こし毛細血管が拡張する為、出血しやすくなります。
まず鼻腔内を観察し出血部位を確認します。キーゼルバッハ部位から、じわじわ出血するのであれば、軟膏塗布・投薬をおこないます。比較的太い血管が入り口にある場合は、(麻酔後に)電気で焼くと止血しやすくなります。
鼻骨骨折(びこつこっせつ)
原因
スポーツ、外傷などが原因で 鼻の根元に相当する鼻骨とよばれる部分が骨折することで起こります。
症状
骨折部位の痛み、鼻出血、皮下出血、外観上の変形などが特徴です。また、鼻の通り道が狭くなった場合は鼻閉を生じることもあります。
診断
見た目で変形を認める場合も多いですが、通常はレントゲンやCTなどの画像検査をおこないます。
治療
骨折があっても外観上で変形が無い or 少ない場合はこのまま経過観察となりますが、通常は総合病院に紹介させていただき骨折の整復術をおこないます。