子どもの病気
睡眠呼吸障害・いびき
誘因原因
子供の睡眠呼吸障害、いびきをおこす代表的な疾患としてアデノイド増殖症・口蓋扁桃肥大があります。
いびきは、アデノイド増殖症・口蓋扁桃肥大が原因で空気の通り道が狭くなり、呼吸に伴って発生する雑音です。起きている時は鼻が詰まっていても口で呼吸がすることが出来ますが、子供は睡眠中、無意識に鼻で呼吸しようとするためにいびき・無呼吸が起こってしまいます。アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎 など鼻呼吸の障害で鼻詰まりのある子供にもいびきが生じます。
症状
睡眠呼吸障害、いびき の他に、口呼吸、食事時間の延長、起床時の目覚めの悪さ、睡眠中の陥没呼吸(胸の真ん中がへっこむ)、寝返り頻回でぐっすり眠れていない 等の症状がみられます。また、それらが長引いた場合は、多動、注意欠陥障害、学習障害、アデノイド顔貌、成長ホルモン低下(低身長)の原因となることが知られています。
睡眠中の呼吸障害に関して、呼吸が一定時間止まっていれば「睡眠時無呼吸」と断定出来るのですが、実際には寝ていて「カッ、カッ」といった症状で受診される子供さんが多いです。この場合、スマホ動画を撮影・持参していただければ良いかと思います。また、季節変動もあり、温かい季節は調子良く・冬に風邪で悪化するといった傾向があります。
検査
まずは口腔内を観察し口蓋扁桃肥大の有無をチェックします。アデノイド増殖症の有無は、レントゲンもしくはファイバーを使用します。
鼻内を観察すれば、アレルギー性鼻炎の有無を予想することも出来ます。また、必要に応じ副鼻腔炎の有無をレントゲンでチェックします。
治療
アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎であれば薬物治療で症状が軽快しますが、アデノイド増殖症・両口蓋扁桃肥大がひどい場合は、総合病院紹介のうえで全身麻酔での手術が必要となります。実際にはいくつかの病気が混在している場合も多く受診していただき、じっくり診察をする・しっかりお話を聞く ことが必要になってきます。
Drよりアドバイス
夜間の睡眠状態について、気になることがありましたらスマホ動画を持参のうえで耳鼻咽喉科で相談することをお勧めします。
子供の咳払い「ン、ン」、鼻鳴らし「鼻ズゴッ」、鼻すすり
症状
- 咳の区別
「普通の咳」or「咳払い」のいずれかであるかを明確に区別する必要があります。「普通の咳」とは、肺・気管支・副鼻腔が原因で奥から込み上げてきて咳が止められない状態です。肺・気管支・副鼻腔の病変を治療すれば症状が消失します。副鼻腔が原因の咳は、痰が絡んだ様な湿性の咳です。「咳払い」の場合は、「ン、ン」といった癖に近い状態のものです。 - 「鼻鳴らし」とは、鼻と口の境目辺りに鼻水がたまった感じで、「鼻をズゴッ」と鳴らす状態です。
原因誘因
耳鼻科的な病気が実際にあるかが見極めのポイントになります。
- 病気がある場合、原因のほとんどは鼻です。実際には、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿)・アレルギー性鼻炎が存在し、そこから後鼻漏(こうびろう:鼻から喉にかけて鼻水が落ち続ける症状のこと)が生じてすっきりさせようとして症状が出ている状態です。
- 病気が無い場合、「癖」もしくは「チック」に近い状態です。
検査
- 視診:咽頭観察で後鼻漏の有無、鼻内観察でアレルギー性鼻炎の有無をチェックします。アレルギー性鼻炎がある場合:鼻腔粘膜は、蒼白な色調で多量の水様鼻汁を認めます。
- レントゲン:副鼻腔炎の有無をチェックします。
治療
副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎があればそれに準じた治療を行います。
何も病気が無い場合は「癖」もしくは「チック」が考えられます。
「チック」?と悩む前に一度 耳鼻咽喉科でチェックされてはいかがでしょうか。
溶連菌感染症
誘因原因
溶連菌による感染症です。鼻水やくしゃみなどの中にいる菌が鼻やのどに入ることで感染します。
症状
38℃以上の発熱とのどの痛みが出現します。吐き気や嘔吐、腹痛がみられることもあります。小さな赤い発疹が首や胸から体や四肢に広がったり、舌が赤くぶつぶつしてイチゴのようになることもあります。
検査
簡易検査キットを使い10分ほどでわかります。
溶連菌検査キット
治療
抗生物質を5〜7日間飲みます。
咽頭結膜熱(プール熱)
誘因原因
アデノウイルスによる感染症です。鼻水、目やに、便などの中にいるウイルスが鼻、のどや眼に入ることで感染します。プールを介して流行することがあります。
症状
38〜39℃以上の発熱が3〜5日続き、のどの痛みと眼の充血、痛み、目やになどがみられます。頭痛、吐き気、腹痛、下痢を起こすこともあります。中耳炎になることが多いです。まれに重症の肺炎になることがあります。
検査
簡易検査キットを使い7分ほどでわかります。
アデノウイルス検査キット
治療
対症療法が中心です。眼症状が強い場合は眼科的な治療が必要です。
ヘルパンギーナ
誘因原因
主にコクサッキーAウイルスによる感染症です。鼻水、目やに、便などの中にいるウイルスが鼻、のどや眼に入ることで感染します。
症状
38〜39℃以上の発熱が2〜3日続きます。のどの奥に小さな水ぶくれができ破れて潰瘍になり痛みます。痛みのために食べ物や水分が取れなくなることもあります。
検査
簡易キットはありませんが、のどちんこに水泡が出来るため診断は比較的容易です。
治療
対症療法のみで、症状によって解熱剤を使います。のどの痛みから食欲低下をきたし、脱水にならないよう水分を摂らせます。
手足口病
誘因原因
コクサッキーウイルスやエンテロウイルスによる感染症です。鼻水、目やに、便などの中にいるウイルスが鼻、のどや眼に入ることで感染します。
症状
口の粘膜・手のひら・足の裏などに2〜3mmの水ぶくれができます。その他に発熱(38度以下)や食欲不振、のどの痛みなどが見られますが一般的に軽症で、発疹は3〜7日で消失します。
治療
特別な治療は不要の場合が大半ですが、口の中の痛みで食べれない場合は脱水予防でたくさん水分を摂る必要があります。
RSウイルス感染症
誘因原因
RSウイルスによる乳幼児の代表的な呼吸器感染症です。RSウイルスの感染力は非常に強く、乳児の半数以上が1歳までに、ほぼ100%が2歳までに感染し、その後も一生、再感染を繰り返します。
症状
鼻汁、咳、発熱などの上気道症状が現れます。「ゼーゼー」といった喘鳴が出ることもあり、1歳未満(特に生後6ヶ月以内)の乳児は重症化することもあります。
検査
簡易検査キットを使い8分ほどでわかります。
RSウイルス検査キット
合併症
中耳炎:中耳炎を合併する割合は2歳未満で70%、2歳以上で30%と言われており、2歳未満のRSウィルス感染児は中耳炎をチェックする必要があります。
RSウイルスによる中耳炎
急性細気管支炎:細気管支炎による喘鳴が特徴的です。喘鳴を伴う呼吸困難の症状、「ゼーゼーヒューヒュー」を示します。
治療
対症療法が主体になります。発熱に対しては解熱剤を使用し、喘鳴を伴う呼吸器症状に対しては痰の切れを良くする薬や気管支拡張薬を用います。
ヒトメタニューモウイルス感染症
誘因原因
気管支炎・肺炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種です。1~3歳の幼児の間で流行しやすく、3~6月にピークをむかえます
症状
①咳(7日間続きます)
②熱(高めの熱が3~5日間続きます)
③鼻汁、のどがヒューヒュー・ゼイゼイ(=喘鳴)
ヒトメタニューモウイルスは、ウイルスの遺伝子も感染症の症状もRSウイルスに似ており、症状も見た目だけでは診断できません。検査キットで区別出来ます。
検査
簡易検査キットを使い3~8分程で分かります。
ヒトメタニューモウイルス検査キット
治療
特効薬は無く対症療法が主体になります。発熱に対しては解熱剤を使用し、喘鳴を伴う呼吸器症状に対しては痰の切れを良くする薬や気管支拡張薬を用います。
当院では上記の各種検査キットを取り揃えております。
小児声帯結節
症状
嗄声(声枯れ)
原因
大きな声を出したり、声帯に負担のかかる発声方法が、主な原因とされています。幼稚園児や小学校低学年の男児に多い病気です。
予防
まず声を使い過ぎないことです。また、のどに負担をかけない発声方法を習得するのも効果的です。
治療
なるべく大きな声を出さないようにします。急性期には内服薬や吸入で治療を行います。変声期になれば自然治癒していく場合が多いので、手術をおこなうことは極めてまれです。