先日のことです。
以前から耳に「できもの」があり気になるとのことで当院を受診された患者さんがおられました。
拡大してみると↓
小さいですがこれは「粉瘤(ふんりゅう)」と言われる皮下のできものです。別名:アテローム とも言われています。
粉瘤について述べてみたいと思います。
粉瘤とは、正常な皮膚の中に嚢胞(のうほう)という袋ができ、袋の中に角質や皮脂などの老廃物がたまったもののことです。別名として、類表皮嚢腫(るいひょうひのうしゅ)、表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)、アテローム、アテローマとも呼ばれています。
アテロームという言葉は、動脈硬化で血管の壁にたまっているコレステロール(粥腫)のことも指します。しかし粉瘤と動脈硬化は関係ありません。たまたま同じ名前で呼ばれているだけです。
粉瘤を観察すると、嚢胞の内側につながる黒い穴が開いています。皮膚開口部と言うのですが、「へそ」とも呼ばれます。
粉瘤の見た目には以下のような特徴があります。
- 皮膚がドーム状に盛り上がっている
- 大きさは数mmから10cm以上までさまざま
- 真ん中に小さな黒い点(へそ)が見える
- 押すと白か黄色のドロドロした臭い膿が出る
粉瘤ができる場所は?
粉瘤は以下のように体のどこでもできるものです。
- 頭
- 顔面
- 耳たぶ・耳の裏側
- 背中
- おしり
- 胸
- お腹
- 手足
粉瘤は治療が必要?
粉瘤は放置しても問題はありません。ただし次のような理由があれば治療が必要です。
- 美容(見た目)的に気になって困る
- ジャマになる
- ばい菌が入って、腫れる・膿が出る
粉瘤が出来る原因は分かっていません。
粉瘤は潰しても治りません。潰しても中身の袋(嚢胞)は残っているためです。
粉瘤を潰してはいけません。潰すと、ばい菌が入り腫れが悪化する可能性があります。
治療としては抗生剤を使ったり、(効果は一時的ですが)排膿させる方法もありますが、根本的治療は手術になります。
手術は以下の要領でおこないます。
手術が必要な場合は、(当院ではなく)総合病院を紹介させていただきます。
今回の患者の場合は非常に小さく、炎症も繰り返していないので様子をみていただくことになりました。
《1/12AM休診》
1/12(金)AMはスタッフ研修のため臨時休診とさせていただきます。