クリニックブログ

鼻出血

2017年12月31日

先日のことです。
「朝からの両鼻出血」を主訴に当院受診された患者さんがおられました。

 

問診票によると

5日前から出血あり今回で3回目、近医でもらった止血剤を飲んでも止まらず。今朝はすごい勢いで出血し「原因を知りたい」「何とか止血して欲しい」とのことでした。

患者さんは「両鼻にティッシュ詰めた」状態で、苦しくて困っておられる様子

 

ここでまずは、「鼻出血」について述べたいと思います。

鼻血の原因の大半は、鼻中隔(左右の鼻の穴を隔てている、真ん中のかたい部分)の前方付近にあるキーゼルバッハ部位からの出血です。
nose02キーゼルバッハ部位」は毛細血管が集中しており、粘膜も薄いため、出血しやすいです。上の図のように太い血管で出血してれば出血部位同定となります。

 

さて今回の患者さんの話に戻り

まずは
①両鼻のティッシュを除去
②両鼻腔から(その後方である)ノドにかけて、多量の凝血塊あり除去

これで患者さんは落ち着いた感じになりました(凝血塊で苦しかったようです)。

今回のポイントとしては
・出血部位を同定し、確実に止血処置
・両側出血はごく稀のため、最初に一方から出血し、反対側は鼻腔後方から回り込んだと考える

Dr:「左右共に出血とのことですが、最初に出血したのはどちらでしょうか?」
患者さん:「右です」

そこで右鼻内を重点的に観察します。
凝血塊を除去しましたが、現在は止血しており明らかな出血源は不明の状態でした↓
2

しかし、ここで終わってはいけません今は止まっていても今後出血する可能性が高いからです。
そこでどうするかというと

「出血しやすい部位を綿棒でこすってみる」のです(患者さんは少し大変かもしれませんが)。
綿棒でこすってみると↓
後出血部位が同定出来ました

麻酔後に電気凝固し帰宅していただきました(鼻出血の患者さん全員に綿棒・電気凝固のではありませんのでご安心を)。